幕張仏像美術館

            お気に入りの仏たちを集めて



 東京藝大による法隆寺金堂壁画修復展(展示館)を観て来ました 

 1949年に焼失した壁画を最新の修復技術で焼失前の状況にまで修復しています
 今後 更に進めて金堂建立当時の姿にまで戻していくのだとか


















 東側から金堂内を覗いた位置から

 若草伽藍が創建当初の法隆寺で 若草伽藍が全焼する前に この金堂が天智天皇によって建立されたのではないかとの
 仮説が最近主張されています
 
 金堂土壇の修復の調査で この金堂には 中央に聖徳太子を模した薬師三尊(止利作) 左側に同じく聖徳太子を模した救世観音
 右側に玉虫厨子が並んで祀られていたことが判ったそうです
 即ち 此の法隆寺金堂は聖徳太子の偉業を称える御堂であったという見方です

 白村江の戦いで大敗を喫した天智天皇は 聖徳太子を称えることで 天皇を支える皇子としての聖徳太子に自分(中大兄)を
 重ね 天皇への崇拝を高めようとしたのではないかとの考え方です
 
 聖徳太子は実在しないとの説も有ります 厩戸の皇子をモデルに聖徳太子像を創り上げたとすれば その創作者は中江大兄ということに
 なります
 厩戸の皇子は 蘇我氏に近い存在であり 入鹿を殺害した中大兄の懺悔の気持ちも籠められているのかも知れません








 西側の三面 阿弥陀浄土 右が聖観音






















 東側の三面 釈迦浄土 ドアの部分が 十一面観音






















 東側6号壁面 阿弥陀浄土 勢至菩薩

 一番美形と云われています
 左脇侍の観音菩薩とは同じ型紙を裏返して転写しています
 























 東面の釈迦三尊 























 北面第10号壁 薬師如来説法図

 菩薩と在家衆が一緒に説法を聴いています

























 象に乗る普賢菩薩
























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 大阪四天王寺の秘仏 試みの観音

 明らかに渡来仏でしょうね

 22cmの小さな仏様

 毎年 8月9日 10日に公開されるそうです












































熱海MOA美術館所蔵 阿弥陀三尊像

大和座りの脇侍を又ひとつ発見



 興福寺北円堂
 堂内は撮影禁止ですが 
 この写真は お堂の外から
 撮りました

 傑作 無着世親像が堂内に
 安置されているのを拝見するのは
 学生時代以来ですので
 40年ぶりです























 箱根阿弥陀寺 黒本尊
 芝増上寺の黒本尊は 徳川家康の念持仏です
 黒本尊の痛みが激しく 家康が代替仏として
 創らせたのが この御代仏です

 皇女和宮が伊等博文の勧めで脚気の治療に
 訪れた湯本の地で亡くなった折り
 葬儀の面倒を見た阿弥陀寺の住職に贈られたのが
 この御代仏だそうです(現在の阿弥陀寺住職談)
 必ずしも和宮の念持仏ではなかったようだとのこと

 増上寺の黒本尊は年に数度しか拝観が叶いません
 阿弥陀寺では 何時でも参拝可能です
 余りの評判に 増上寺から返却を求められたとの
 ことです 勿論お断りしましたとのこと

 眼元がとてもすっきりしたお顔立ちです



 普通 撮影禁止の仏様が多い中で
 気軽に撮影をお許しいただきました















 阿弥陀三尊

 阿弥陀如来は 本所回向院の旧本尊を
 贈られたものだそうです

 脇侍の両観世音菩薩は 
 珍しい大和座り

 蓮華弁の造りがご本尊と脇侍で
 異なっているので少し違和感が
 ありましたが 由来を聞いて納得です











 阿弥陀寺現住職 第三十八世 水野賢世 和上
 筑前琵琶奏者の顔もお持ちだそうです

 壇ノ浦を聞かせていただきました

 僧侶だけあって声の張りは抜群
 一弦 二弦は 殆ど開放絃で
 弾かれていました

 調べはかなり複雑です












 経栄山題経寺 というより
 柴又帝釈天といった方が馴染みが
 深いお寺の境内にて



















 小柄な仏様ですが
 中々 出来は良いものと感じます

 多分 観音 勢至両菩薩と思いますが
 阿弥陀仏との三尊像でないのは
 珍しいかも知れません
























 奈良薬師寺 聖観世音菩薩像の模刻品

 制作年代は書かれていませんでした
 金銅仏です

 東京国立博物館本館蔵
 幾つかの作品以外は フラッシュと三脚を
 使わなければ撮影が可能です




















 此方も模刻品
 明治26年 山田 鬼斎氏作の木彫

 何れも同じ仏を模刻したにもかかわらず
 何か微妙に異なる雰囲気を感じます























 薬師寺 聖観世音菩薩
 
 何度も参拝していますが
 このような迫力を心象に
 切り取る見方が出来てはいません
 
 この写真を見る度に
 土門拳の凄さに
 何時も押しつぶされそうになります













 神護寺 薬師如来
 此れも土門拳の傑作の一つ

 実物は とても小さなお像です
 
 この迫力 圧巻です

 唇に残る濃い紅が
 鮮烈な印象を残します


















 海外流出の危機にあった大日如来像
 真如苑の購入で落着しました
 12億5千万円の落札価格が
 正しい評価なのかはわかりませんが
 素晴らしい芸術品であることは
 間違い有りません

 



















 奈良柳生円成寺の大日如来と同じく
 運慶の作といわれていますが
 円成寺のそれよりかなり小振りです

 宝髻(ほうけい)が 異常に高く見えますが
 通常 宝冠が宝髻の周りを覆っているので
 此れでバランスが良いのかも知れません






















 端整で柔らかな曲線の表現は
 運慶そのものを感じます





























 少し反り返った座り方は 円成寺の大日如来と
 そっくりです




























 柳生円成寺 大日如来坐像
 運慶作

 
































































 此れは お勧め
 東京国立博物館 薬師寺展

 日光 月光両脇侍が揃って
 初めて寺外で拝観出来ます
 しかも 光背が外され
 後ろから 拝見出来るのも
 珍しいことです











 私にとって それ以上に注目は
 聖観音菩薩の来場です

 渡岸寺十一面観世音と共に
 一番好きな仏様です

 様式美の中に 豪華絢爛な
 装飾の美しさ 彫刻技術の粋を
 感じます

 横から拝見すると かなりの厚みを
 持っており 右足を僅かに前に出しながら
 バランスを保つ美しさは 比較するものを
 持ちません









 勿論 日光 月光の見事さは
 言葉を超えています

 今回は 高い目線で
 拝見することが出来ますが
 下から拝むことを計算して
 意外と頭部がバランス上
 大きくしていることに気付きました

 此れだけの傑作なのに 作者が特定出来て
 いません






 公式ガイドブックです






















 このアングルは 薬師寺を撮る時の
 お定まり地点

 今年の春に 此処からの撮影に
 挑戦したいと思っています












 右が日光 左が月光

 薬師如来に向けて
 腰を寄せています

 下は 入場券です




































 奈良 山野辺の道 長岳寺 阿弥陀三尊

 学生時代にお参りして以来 35年振りの対面でした
 半跏像の脇侍は 大変珍しいものです

 この長岳寺は 日本最古の山門(平安期)が有名ですが 
 隠れた名物は 庫裏でいただけるソーメン



 此方が 山門





























 此方が ソーメン ¥700

 山野辺の道は 三輪山の門前町を過ぎると
 民家も無く 天理まで茶店も自販機も
 有りません

 素朴で美味しく 涼味この上なし















 室生寺十一面観音

 金堂内陣一番左端にお立ちになります
 元々は本尊の脇侍であったと伝えられます


























 余り大きな仏様ではありません
 彩色が かなり残っており
 彫られた当時の美しさは いかばかりであったかと
 推察されます


























  釈迦如来坐像
  弥勒堂 客物

  横顔の美しさにも魅力を感じます

























 奈良 聖林寺十一面観音

 明治の廃仏毀釈運動時に
 門前に投げ捨てられ
 薪にされかかった法難の伝わる仏です

 豊満な作風 見飽きぬお姿です

 奈良中心街からは少し離れていて
 バスも30分から1時間に
 1本しか有りません
 
 収蔵館にあり 撮影禁止ですが
 普段は 監視員も居られません
 
 この写真は 吉川誠先輩から
 頂戴致しました






展示会(上野)



 上野の国立博物館 平成館 2006年5月7日迄開催中です





















 重文 聖観音菩薩立像
 平安時代(12世紀) 滋賀・延暦寺


 聖観音菩薩が左手に持つ蓮の花を
 未敷蓮華(みふれんげ)と云います

 未敷蓮華は 解脱しない我々衆生を指し
 菩薩は右手を添えて全ての衆生が救われることを
 祈っています

 実物は 大変肉感的 頭がかなり大きく 
 肉付きも大変ふくよかです
 図鑑では味わえないものを 拝見しました

 右足を心持ち踏み出し 左腰を突き出し
 口元も お言葉を発しかけたところを
 表現しているように見えます

 この仏様と お会い出来るだけでも足を運ぶ価値ありです

 比叡山延暦寺 横川中堂のご本尊は 大きな堂内の奥深く
 ガラス張りのケースの中に立たれます

















 2006年10月3日(火)〜12月3日(日)
  於:東京国立博物館 平成館

 大好きな 渡岸寺十一面観音が 
 公開されます


























 優劣は兎も角 私はこの仏様が一番好きです

 後ろ姿の良さは 薬師寺の日光月光両菩薩の其れを髣髴させます





















































 此方の御朱印は 地元の保存会の方達(ボランティア)が
 一枚ずつ丁寧にお書きになられます

 素朴な味わいを感じます




























 紺野 p慶 仏師 の作品

 大日如来ですね