お気に入りの絵 日本画編



 此の景色をご覧になって 何処だかお判りの方は
 相当 東山魁夷がお好きな方でしょう

 御射鹿(みしゃが)池 です

 


















 此方が東山魁夷の「緑響く」(1982)です

 鹿ではなく 東山には馬が見えたのだそうです










































 山種美術館に 東山魁夷を観に行きました

 大好きな「京洛四季」(けいらくしき)の 北山初雪 です
 
 川端康成が魁夷に書を送り「京都は今描いていただかないと、なくなります。 京都のあるうちに、描いておいてください」と伝えました
 魁夷は そのうちの一枚 北山初雪をノーベル文学賞のお祝いに贈ります

 近付いてみると杉一本一本の輪郭まで細い筆で色を入れています
 しかも何度も色を重ねています 積もる雪も何度も何度も重ね書きしています 息の詰まる様な迫力を感じます























 京洛四季の中で一番好きなのが この「年暮る」です
 京都鴨川沿い 東山三条辺りの年末の雪景色 ホテルの部屋からのスケッチを元に描いています
 一番手前の中央の窓明かりがとても印象的です
 雪を絵画で表現するのはとても難しいと思いますが 東山魁夷は柔らかく舞い落ちるぼた雪を見事に描いています
 上は 山種美術館で求めた絵葉書2枚 ご覧くださいこんなに色が違うのです

 実物の絵の色は 絵葉書では再現出来ません 眼に焼き付けた印象を想い出すために手元に置きます




















 そして この日 美術館の喫茶室でいただいた抹茶と和菓子 確か銘は「初雪」でありましたか





































 二枚の絵は同じ絵です  東山魁夷の「年暮る」

 壁紙の色の違いが同じ絵を別物のように感じさせます

 オルセー美術館が 印象派の絵をより鮮明に見せるため壁紙を濃い紺色に変えたのは このような効果によるものです

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 上野不忍池脇 横山大観記念館

 横山大観が此の地に居を構えたのは 明治42年 
 昭和20年の空襲で全焼するも昭和29年に再建 
 90歳で逝去する昭和33年までこの地で製作を続けました

 屋内は撮影禁止です 
 一段高くなった客間の茶室がとても素晴らしいです

 画室が意外と暗いのに驚きました












 大観の作品で好きな一枚が 屈原

 実物は 安芸の厳島神社に奉納されているそうです



















 NETで見付けたもの 模写とありますから 大観の描いたものではないのかも知れません

 屈原の表情が穏やかで これから死に赴くという悲壮感は感じられません

 NETには 大観記念館 とあったので 拝見出来るかと足を運びましたが 無駄足となりました















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 友人に教えて貰って 正月の上野国立博物館に出掛けました
























 目的は この一枚 長谷川等伯の松林図屏風です

 後継者と看做されていた息子 久蔵が 智積院の襖絵を完成させた翌年に亡くなり
 その後に傷心の等伯が描いたと云われていますが 近寄ってその筆致をみると
 松の葉など固いささくれ立った木の様な筆(?)を使用して迷いのないとても強い筆致で書かれています

 多種多様な技法が用いられており 使用されている墨も極上のものとか
 描かれた時代に好まれた画法ではありませんが 等伯独自の美を探り当てた自信が溢れ出ているように
 私には思えます

 少なくとも 注文主の好みに媚びるような絵ではないことは確信が持てます

 それ程観客も多くなく ゆっくりと坐って鑑賞が出来ました
 更には 国宝であっても撮影可 嬉しいですね









 左隻右上の山は 何処の山なのでしょうか






















 今年の公開スケジュールが掲示されていました

 来年も 正月に松林図屏風に逢えるようです





















 上村松園 昭和11年の作品 序の舞

 思っていたよりも遥かに大きく しかも精密に書かれていることに
 驚かされました
































 此方は下絵 序の舞の下絵は等身大以上の大きさ
 何度も和紙を張り直して書き直しています

 下絵自体が 既に完成品に近いほどしっかり描かれています
 筆の運びには 殆ど迷いはありません
























 
 東山魁夷生誕100年展

 竹橋の国立近代美術館
























 残照 千葉県鹿野山からの展望

 まるで写真のような印象ですが
 実に迫力のある作品でした

 1947年(昭和22年) 兵役から戻った東山魁夷の転機となった作品
 東京国立近代美術館蔵


 現地の実際の光景は かなり異なります
 画家の眼で捉えた光景なのでしょう


      九十九谷展望公園













 北山初雪

 現物を見ると 写実ではない幻想を
 描き込んでいる事が判ります























 道

 良くこんな単純な構図を
 絵に出来たものだと感心していましたが
 無駄なものを全て削ぎ落として
 この絵が描かれたことが 理解できました






























 たにま

 今回の収穫は この作品
 作品を完成させるまでの数多くのデッサンが
 展示され 製作過程での思索が
 良く理解できました








































 浮世絵も日本画の中に加えます

 江戸東京博物館で開催中の
 マノスコレクション

 写楽の肉筆画が見付かったとの
 話題の作品 扇子画です

 ギリシャの外交官グレゴリオス・マノスが
 赴任先の欧州で買い求めた1万点の
 日本中国朝鮮の美術品の中に
 多くの浮世絵があり
 中でも写楽の肉筆画が
 発見されたとのことです

 保存が良く 色も良く残っていますが
 摺りの良くないものも交じって
 いるようです
 
 

















 四代目松本幸四郎の加古川本蔵 扇絵です
 着物の縁取り・特に襟元の筆致にご注目下さい

 何とも自信の無さそうな線に感じませんか

 確かに他の写楽の作品と良く似てはいますが
 本当に写楽の自筆なのでしょうか
 
 模写のような気がしないでも有りません

 まあ 真贋論は ともかくとして
 写楽の大首絵に会えたのは 収穫です








































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